名前のない女たち うそつき女
(C)「名前のない女たち うそつき女」製作委員会
ルポライターの志村篤は、主にAV女優を専門に取材をしては本にしていた。
AV女優を「人前で裸になってセックス売ってるだけの社会の底辺」と内心バカにしつつも、彼女たちの前では「尊敬している」と言ってみたりしていた。自分が心底見下している対象であるはずのAV女優たちに、なぜ彼は執着し、追い続け、そして取材し続けるのか。彼はある種の矛盾を抱えていた。彼をそこまで惹きつけて止まないAV女優とは。
そんな中、企画AV女優である前田葉菜子と取材を通して出会う。いつものパターンだと思った。惨めなくせに、そこを直視することなく、「充実している」「幸せ」「AV女優は夢だった」等と言っては明るく振る舞い、空虚な嘘で作り固められた今までのAV女優と同じだと思っていた。しかし、葉菜子は何かが違っていた。
一方で、葉菜子の妹の前田明日香は、高校を中退し、若さも時間も持て余していた。実家に全く帰ってこない葉菜子に会いに、田舎から親に内緒で出てきてしまう。そんな時、ワケありのホストとして働き始めていたツバサと出会う。それぞれが、それぞれに、切ない人生を日々生きていて、心にある闇や、葛藤、矛盾、言いようのない何かを抱えて、それでも生きて……。